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善良街の一角、「正義のヒーロー」になるべくして子供たちが集う、ぴくヒロ学校。

その日の朝は珍しく、超能力学科、一般学科合同の…全校集会が行われた。

「…と、言うわけで暗黒街は今まで以上に危険な状態となっています。小隊を持つ3年生以上は勿論の事、それ以下の学年は教諭の同伴を持っていても近づく事の無いように」
校長代理の緑の朗々とした声が体育館に響き渡る。

今まででさえ危険な街であった暗黒街。
それが今回、ある組に属している一人の構成員の「死」によってタガがはがれたように、
あちらこちらで始まる抗争と殺戮の連鎖。

それは今もなを留まる事を知らず、彼等ヒーロー達もことの成り行きを見守るほか今は何も出来ない状態にあった。


「…さて、重要事項は一通り伝えました。生徒側からの質問があれば受け付けます」
緑の隣に立つ、和服の少女、真名が可憐な声で生徒を見渡す。
少女、と言っても彼女は生徒ではなく教師だ。
詳しい事は、…省略。話が進まなくなるので割愛。

さて、彼女が見渡せば…一人の少年がハイハイ!と元気良く手を上げる。
「……はい、いませんねー?」
そちらをあえて無視して、真名は質疑終了をしようとする。

「ねー!真名ってば!」
はぁ、とため息。
「…先生と呼びなさい!…で、何ですか?つまらない質問なら壁際までふっ飛ばしますよ?」
ヒーローの台詞とは思えない様な物騒な言葉を吐いて、
真名はぴょんぴょん飛び跳ねている少年、バサラに目をやった。

「えっとねー!俺たちがさー、その街に行って止められないの?だってヒーローなんでしょ?」
無邪気にバサラは笑い、対して真名の周辺温度がガクンと下がる。

「…真名先生…」
横で穏やかに彼女を止める緑の声が聞こえる。

「…いいでしょう。私だって大人です。一回位の質問で怒りません。
…ではバサラ君、そういった類の質問は、君のお隣に座ってるバルク君に聞いてくださいね。
殆どの質問に答えてくれます」
「はーい!わかった!」
ため息を付きながらそう告げれば、バサラは元気良く返事を返す。
横で指名された帽子を被った少年、バルクは「えー…また僕…?」とげんなりした声を上げている。

「…では、他に質問は」
「あ、はいはーい!」
「……あのねぇ、バサラ、君?」
エンドレス状態にげんなりしつつ、真名は彼をどうふっとばそうか算段しはじめ、
しかしバサラは急に真面目な顔で真名の名指しを待ち続ける。

「……お隣のバルク君にも分からない事?」
バサラの隣に視線を向ければ、元気に手を上げるバサラを片手で押さえながら、
「そうです」とバルクは短く頷く。

「…何かしらバサラ君?」
「あのさ!あのさ!その、いま何か暗黒街にいる変な奴等いるんでしょ?
もしこっちの街に来たら困るじゃん!だからさ、見た目とか知らない?」
「…あぁ」
彼にしては、珍しくまともな質問だ。

…と、言っても、こちらも現状把握できている部分が完璧とはいえない。
彼の質問に十二分には答えられないだろうが、どんな些細な情報でも、
それは他の生徒の警戒にも繋がるだろう。
真名は手元の資料を手繰る。

「分かりました、その質問にお答えします」
真名はようやくバサラに向き直る。

「事前に街を調査してきたフォカート先生によりますと…
年齢、性別、戦闘スタイルは全て不明。
黒ずくめに仮面という井出達が共通しています。
…あと、鳴き声が……「ぴーーー」…だそうです」
何この格好悪い鳴き声。
真名は顔をしかめ、そして他に情報が無いことを確認する。

「…以上です。まぁ、こちらに被害が及ぶ分は…こちら側で対処せざるおえないでしょう。
その時は、私達教諭と、そしてあなた方ヒーロー候補生が、全力を持ってこの街を守るのです。
いいですね?」
パタン、と資料を閉じ真名は緑に目配せをする。

「さて、集会はこの位にして、各々授業に戻って下さい」
締めの言葉が緑によって告げられ、それを持って集会は解散となった。


一時間ういたねー、あー購買部もう空いてるかな、次の課題まだ少し残ってたんだ…
ありきたりの、台詞だけ見ればどこにでもいるような…ヒーロー候補生たちは順々に教室へと戻っていく。

そして、困った表情のバルクの視線の先には…
何かを思いついてキラキラと輝いている、バサラの笑顔があった。




続く
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2008.10.31 


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